ご挨拶

小柳志乃夫 元株式会社日本興業銀行  理事長 小柳 志乃夫
  元株式会社日本興業銀行

日本の国は遠く神話にさかのぼる悠久の歴史をもった国です。皇室を中心として和を貴ぶ国柄が今に続くとともに、遠い祖先の心を記紀万葉をはじめとする多くの古典に偲ぶことができる稀有な国です。この国柄と国語の伝統とは日本文化の大切な一本の柱であり、中世以降の武士道などとともに、先人が育て、守りついで来た宝です。しかし、明治以降、近代化の過程で文化伝統の軽視の風潮が生まれ、特に敗戦後の占領統治時代にわが国の歴史の断罪が行われました。その後遺症は今もなお政治・教育などの各分野に残って、日本人本来の豊かな情操や主体的にものごとを考える力の衰弱をもたらしているように思われます。

「公益社団法人 国民文化研究会」略して「国文研」というこの団体は、昭和31年、戦後教育で忘れ去られた日本の良き伝統文化や尊い歴史伝統を、次代を担う大学生や若い人達へマンツーマンで伝えていきたいと決意して発足しました。

この理念のもとに、毎年夏に「合宿教室」というセミナーを開催し、先人の言葉に思いを寄せ、互いに心を開いて語り合う体験を通して、日本人として誇りをもって生きるよう研鑽を続けております。参加者も延べ1万5千名を越えました。また、全国各地で古典や短歌の研修の場を開催し、多数の参加をいただいております。

今日、安全保障環境を始めとして国際情勢が激変する中で、わが国の主体性が求められ、国民の拠って立つ足場の確立が求められています。本会はマン・ツー・マンでの運動によって青年の魂に灯をともし、国際社会の中でも自信を持って対応していける人材、次代を担う人材をさらに育成していきたいと考えております。

なにとぞ本会の微意をお汲み取りいただき、お力添えをお願い申しあげます。

国文研設立の趣旨

本会は、様々な職業の有志会員によって構成され、会員相互の研究活動や出版活動を通じて、戦後の学問や思想の混乱を是正し、わが国の歴史・文化に根ざした国民生活の確立を目指しています。

ことに次代を担う大学生・青年層の健全な情操育成のための活動を大きな柱としています。昭和31年に発足。昭和39年3月、文部大臣から社団法人の認可。平成25年4月には内閣府の「公益社団法人」としての認定を受けました。

国文研の目指すもの

あ   次代を担う“心豊かな青年”の輩出を念じて

現代は「人」と「物」と「情報」が地球的規模で行き交う時代です。国際的な交流は、今後ともますます盛んになって、さらに多種多様な展開を見せることになるでしょうが、こうした「国際化の時代」、即ち「国際交流の時代」になればなるほど、一層、自国の歴史や伝統に根づいた精神的文化をより深く理解し、感得することが大切になってくると思います。

日本人としての「ナショナル・アイデンティティ」を心の内にたたえることは、自らの人生の価値と意義とを把握するために必要不可欠のことと思われます。それはまた他国の文化を正しく理解するためにも必要なことだと考えます。自らに侍むところある者のみが他者の矜恃に思いを馳せられるはずですし、自らの心の内に「ナショナル・アイデンティティ」を覚える者にして初めて、他者の「ナショナル・アイデンティティ」の在りかに思いが及ぶものだと考えられるからです。「ナショナル・アイデンティティ」を意訳するならば「国民同胞感」となりましょう。

貿易関係といった物的な経済面での交流においても互いに相手の商習慣などの文化的側面を充分に知ることが大切だと言われます。「物」の取引の前提には「人」と「人」の間に意思の行き来があるわけですから、「物」の移動は同時に文化の交流でもあるといえるでしょう。その意味で、「国際交流」が量的にも質的にも拡大深化していくにつれて、いよいよもって「日本人の、日本文化の真価」が問われてくるのではないでしょうか。

明日のわが国を担うのは、なんといっても大学生を中心とした青年たちです。私どもは、現在の若者、とりわけ勉学を本分とする大学生には、「本当の学問」をしてもらいたいものと念願しています。「本当の学問」とは自国の歴史的文化的な土壌に根ざし、それを基盤に「自分自身の人生観を鍛える学問」のことだと私どもは考えます。

世界のどこに出ていっても恥かしくない個性的で心豊かな青年の輩出を願って、本会では、毎年の夏に全国規模の「合宿教室」を開催し、また、地区別・大学別の「合宿」「読書会」などの研修・諸事業を企画・実践しています

私どもは「公益社団法人」として学生・青年だけにかぎるのではなく、広く社会人の方々にも研修事業へのご参加を呼びかけています。どうか私どもの事業をご理解の上、ご協力いただきますようお願い申上げます。